山口暮らしを体験してみる

先輩移住者の声

voice No 19

鈴木 啓二朗 さん

[山口市松美町]

アーティスト

いつ・どこから・なぜここに?

 名古屋市の出身で、名古屋市立大学を卒業後、アメリカへ留学し、帰国するまでの最後の3年間をアメリカ・テキサス州のヒューストン大学大学院にて過ごし、彫刻を学びました。2011年1月から3月頃まで秋吉台国際芸術村でレジデンスプログラムのスタッフとして、制作補助や通訳などをしました。3ヶ月単位で秋吉台をはじめ、あちこち移動しながら活動していましたが、2014年に山口大学教育学部の中野良寿先生(現代美術)の研究室が主宰した芸術文化の企画のお手伝いで、再び山口市にやってきました。お手伝いの任期後には、「山口起業カレッジ」を受講し、個人事業主として上手に仕事と生活を両立させるように努めています。2016年10月に湯田温泉前町のアパートから現在の一軒家に移り住みました。

なぜ山口でこの仕事を?

 正直なところ、山口だったのはたまたまです。高知県土佐清水市や鹿児島県種子島の地域おこし協力隊にも応募していたのですが、都合で二次試験に行けませんでした。子供の頃、修学旅行で萩・秋吉台に来たことがあるだけで、山口県には縁もゆかりもなく、秋吉台国際芸術村も、山口大学も、偶然です。

現在の状況・感想

 現在はアート&デザインプロデューサーとして、「cagerowproduction(カゲロウプロダクション)」を主宰しています。事業内容は「アート&デザイン制作、異文化交流、教育プログラム、地域開発、コーディネーション&翻訳、提案プロジェクト」を掲げています。このほか、現代美術の研究室の手伝いをしたり、山口現代藝術研究所(YICA)というNPOのスタッフとして活動したり、求められることに応えています。生活できるようにいろいろと努力しています。「cagerowproduction(カゲロウプロダクション)」は山口起業カレッジで作りました。山口起業カレッジは山口商工会議所・山口県央商工会・徳地商工会の主催で、起業に必要な心構えや知識、ノウハウについて学ぶことができます。地域の金融機関との個別相談もセッティングしてくれます。起業や経営に関しては知らないことばかりで、本当に受けてよかったと思っています。受講者同士のつながりもできて、新規開店に伴う名刺やショップカード、パッケージのデザインを発注してもらいました。ありがたいことですね。

地方への移住にあたり不安だったことは? 実際は?

 抵抗や不安はありませんでした。寒いのは苦手ですが、中国地方瀬戸内は温暖でいいですね。

山口の印象は? 魅力は

 山口は四季がしっかり感じられるのが魅力です。僕は山口市の中心部でホタルを見てとても感動しました! 雪舟がアトリエを構えたくらいですから、いいところなんですよ。僕が参加している山口現代藝術研究所(YICA)は、現代美術を核として、山口の文化を考え、まちづくりにも取り組んでいる団体で、国内外で活躍中のアーティストや将来有望な若手アーティストの芸術活動を紹介したり、講演やワークショップなどを開いたりしています。現代美術はあまりなじみがないかもしれませんが、山口市の山口情報芸術センター[YCAM]はメディアアート作品の展示・制作に取り組む先進的な施設ですよね。現代美術はメディアアートも含み、もっと大きなくくりととらえてもらったらいいと思います。世界的な現代アート作家も山口にちょくちょく来ています。僕も山口に来てから、アーティストと一緒に回ってローカルなことを知ることができました。今はネットで情報を見ることができますが、実際に来て見て「とてもおもしろい」と思いました。
食べるものもおいしいし、温泉はあるし、道路がよくて、一般道でもスイスイ走れるのもいいですね。県内のたいていのところに車で2時間走れば行けますし、通勤渋滞も少なく、暮らしやすいです。

山口に住んで困ったことは?

 仕事がちゃんとくればいうことはありません。

今後の展望

 経済的にも、自分のポジションという意味でも、もう少し安定したいです。自分の制作活動や展覧会、大学の企画のサポート、建築士とのコラボレーションなどいろいろやってみたい。山口県内の農家さん、漁師さん、手工芸の技を持つ人、経験や技術、知恵を持っている人はたくさんいるのに、高齢化して活躍の場も狭いから、アーティストやデザイナーとして、彼らとコラボして次世代につないでもらうような製品を作るプロジェクトを企画し、その拠点づくりをしたいという考えもあります。国内外からデザイナーや建築家、シェフたちを招いて、滞在して制作してもらうアトリエや宿泊施設といったレジデンススペースを作りたいですね。

移住を考えている人・移住してきた人にアドバイスを

 事前にリサーチをしても見えないものはあるし、何も知らずに来ても掘り起こせるものがたくさんあります。応援してくれる人はいるし、移住や創業の支援制度もある。だから、興味や縁があったら、とりあえず来てみたらいいと思います。

 取材年月:2017年1月