山口暮らしを体験してみる

先輩移住者の声

voice No 12

杉田 功二 さん

[山口市阿東徳佐在住]

田舎暮らし

いつ・どこから・なぜここに?

 転勤族であちこちに住みました。60歳で定年になった時には東京にいましたが、その後すぐに札幌に移り、娘や孫たちも近くにいて楽しく過ごしていました。もう動くことはないだろうと思っていたのですが、4年ぐらいたった頃から「このままでいいか?」と自問するようになりました。私は山陽小野田市厚狭の出身です。西の空を眺めながら「ここでは死なれん」、望郷の念にかられ「山口に行ってみようか」と思い立ち、実際にアパートを借りてのお試し暮らしも2週間ずつ、2回ほどしました。萩市佐々並の空き家も見ましたが、ちょっと違う。あきらめかけたのですが、山口市の一の坂川沿いのサクラを見に寄って、あのあたりのたたずまいに「すばらしいところだ!」と感動してしまったのです。聞くともなく聞こえてきた周囲の人の会話、山口のお国なまりがまたよくて。改めて「ここに住もう」と決心し、札幌に戻って山口市役所に電話をして空き家バンクのことを聞き、この家と出会い、2011年11月に引っ越してきました。私が65歳、妻が64歳の時です。

現在の状況・感想

 家庭菜園の世話をしたり、ご近所とお茶を飲んでおしゃべりしたり、時には一緒にお昼ごはんを食べ、夕方には津和野との境にある願成就温泉に出かけたり。

 家庭菜園は師匠がいて、苗をくれたり耕してくれたりします。またある時、外出から帰ったとたんに向かいの奥さんが温かいおでんを持ってきてくれた。ずっと気にして待っていてくださったんですね。そういうご近所づきあい、もののやりとりだけでなく笑顔や心遣いのやりとりもいいものです。毎日一期一会の喜びがありますよ。家庭菜園のそばに柿の木を植えたのですが、少しずつ大きくなって人の背丈くらいになりました。一緒に成長を楽しんでいます。

地方への移住にあたり不安だったことは? 実際は?

 特に不安はありませんでした。妻も私の転勤について回ってくれていましたからあまり抵抗なかったようです。来てみたら思いのほかよかったと言ってくれています。妻も私も各地に友だちがいて、今も交流が続いていますが、ここでもご近所の方々がとてもよくしてくださってありがたいです。

山口の印象は? 魅力は

 山口県は三方を海に囲まれていて海産物がおいしい。萩や長門のアジの干物、仙崎のかまぼこ、瀬戸内のメバルやタチウオ、下関のウニや青のりなどは絶品ですね。徳佐は野菜、米、命の要である水もうまいです。山口市は一の坂川の春の風景と瑠璃光寺五重塔を中心とした静かな街全体の雰囲気がとてもいいと思います。さまざまな地域文化と素朴な人々の暮らしぶりも好ましく、魅力的です。

山口に住んで戸惑ったことは?

 思っていたより寒かったです。みかんの木を植えましたが、風邪をひきっぱなしです。

山口に来てよかった? それはなぜ?

  特に徳佐は住んでいる人の人柄がいいと感じます。常識的で、親しさのほどをわきまえている人が多い。親切だけど、いやなおせっかいではない。「田舎の人」じゃなく、「山口の人」だと思います。子どもや学生さんの挨拶も非常に気持ちがいい。口先だけでなく、きちんと帽子を取って礼をする姿にこっちがびっくりさせられます。そういうところにも歴史や文化を感じますね。周りの人に恵まれたことが何よりうれしいです。

 札幌の娘夫婦、孫たちとの距離感もちょうどいい。魚や野菜がおいしくて安いので食費が札幌時代の3割ほど低く抑えられていることもありがたいですね。

今後の展望

 自然環境のよさも食べるもののおいしさも人とのご縁も、根っこは「ありがとう」に集約されます。会社員時代も「お客さんに喜んでもらえるのがいちばん」と思って仕事をしていました。ここでも何か、人のため地域のために尽くしたいと思います。声をかけ、かけられ、よもやま話をし、時にはまじめな話もし、ひとつでもふたつでも笑顔の花を咲かせることができればいいと思いながら、ひたすらふるさとの小道を歩いていきたいと願っています。

移住を考えている人・移住してきた人にアドバイスを

 会社員時代は東京、大阪、名古屋、仙台、札幌など都市部での暮らしが多かったので、都会の楽しさも知っています。ここには都会のきらびやかなネオンサインはないけど星空がとても美しい。星を眺めながら一杯やったり、温泉でわいわいとその日の疲れを洗い流す暮らしもいいですよ。

 取材年月:2016年1月