先輩移住者の声
いつ・どこから・なぜここに?
剛さんは東京でITコンサルタントとして働いていたが、脱サラして山口市秋穂にUターンした。「自分も年を重ね、秋穂にいる両親も高齢になってきたから」とその経緯を話す。北海道出身の妻・和江さんは「あなたは山口市にいる時の方が生き生きしてるから」と快諾してくれたが、問題は仕事だった。山口県には、剛さんが培ってきたスキルを活かせる仕事が見当たらず、新たな道を模索する必要があった。「秋穂で何かするなら農業か漁業。先祖代々の土地があるので農業を選びました」。
その後、東京の有楽町にある「やまぐち暮らし東京支援センター」の就農イベントに参加した剛さんは、山口県立農業大学校の「やまぐち就農支援塾」で社会人が農業を学べると知り、1年間通ってみることに。家族で秋穂に移住し、農業大学校で学び始めた剛さんは、そこで初めて秋穂がトマトの産地で、秋穂トマトというブランドがあると知ったという。「私、実はトマトが嫌いで、生では食べられないんです(笑)」と剛さん。
秋穂がトマトの産地であること、トマト自体が比較的高収益を狙える作目であることからトマト農家になると決めた剛さん。大のトマト好きの和江さんに報告すると大喜びしたそうだ。そして、二人でこれからについて語らううちに、「自分(苦手な人)でも食べられるトマトを作る」という明確な目標もでき、より一層農業技術の習得に励むことに。「就農支援塾では栽培の知識や技術だけでなく、事業計画書や補助金申請書の作り方まで指導してもらえ、おかげさまで山口市の新規就農者に認定されました」。
山口市では認定新規就農者に向けたさまざまな支援制度があり、剛さんもいくつかを活用。現在農園に立つ6棟のハウスにも補助制度を使った。「今でも困ったことがあったらまずは山口市の農業振興課に相談しています。対応が早いですし、不明な点は調べてもらえる。他の地域ではこんなに手厚く支援してもらえないという話も聞き、山口市で就農して本当に良かったと実感しています」。
現在の状況・感想
経営はすっかり安定し、現在は新しく2棟のハウスを建設中。「新しいハウスは、水も肥料も空調も、管理は機械任せ。想像していた農業と全然違います」と和江さん。不要な芽を摘んだりする手入れや収穫期の忙しさはあるが、苦痛と感じることはないのだとか。
「うちのトマトを食べてからトマトが好きになったと言われることもあり、すごく充実した日々を送っています」と笑顔で話す和江さんだが、実は次の展開も探っている。「出荷できなかったトマトで加工品を作ったり、農園に販売所や料理を提供する場所を作ったり、東京の飲食店に卸したり、海外に輸出したり……。これからの農業はやり方次第。たちばな農園から秋穂を元気にしていきたいです」。にっこりと顔を見合わせる立花夫妻の目には、農業の眩しい未来が映っていた。
移住を考えている人・移住してきた人にアドバイスを
スーツを脱ぎ、満員電車や残業から解放され、ストレスフリーな毎日です。山口市の農業に対する手厚い支援には驚くはず!(剛さん)
北のものも南のものも生産できるのが山口市のすごいところ。山のものも海のものも楽しめ、人が温かいのも魅力です(和江さん)